2009-03-05

三条殿での父娘対面

中納言家は、もとは女君の母親の家の所有であった三条殿を改築してそこへ引越すことにする。女君がいなくなってしまった今その領有権は父中納言にあると考えての行動だったが、じつは女君はその土地の領有権を示す「券」をちゃんと大事に持っていた。男君はこれを利用して中納言家の引越の直前に三条殿を乗っ取ってしまうという仕返しを思いつく。これが中納言家への復讐のクライマックスである。

中納言家から侍女たちを引き抜いたり、新しい三条殿で中納言家方が引越の準備をしているところに男君の家司(けいし。「権門家の家務を取り仕切る職員」p.188)たちが現れて「ここは雑色の控えの間とする」とか勝手に決め出し、中納言家方の男たちがあっけにとられたりする場面などが見どころなんだけど、もういちいち引用はしないよ。なりゆきでそうしちゃったけど、ここは古典のあらすじをダイジェストで紹介みたいな便利ブログじゃないんだ。引用するのは僕がおもしろいと思ったとこだけ! あとは自分で読め!

いろいろあった末、その三条殿に中納言らを呼び寄せ、男君は事情をすべて明らかにする。自分の妻はかつての「おちくぼの君」であること、北の方をこらしめるために今までそれを伏せていたことなどを語る。父中納言は女君とその子供たちに対面もする (p. 210)。その後、北の方も女君と対面することになるが、力関係が逆転してしまったその再会の場面は滑稽である (p. 222)。男君のほうはいまや大納言なのだ。

さて父娘が再会してめでたしめでたしで終わるかというと、そうではない。あれだけ中納言家にひどい目を見せてきて、「じつはあなたの娘だったんです」と明かしただけで終わっちゃったらただのドッキリだ。男君がかねて言っていた通り、仕返しのあとはそれを上回る孝行で父中納言に報いるのである。年老いた中納言への最大の孝行として男君・女君のふたりが考えたのは、法華八講であった (p. 220)。

もちろん、法華八講を開催できるということ自体が、現在の男君の権勢の大きさを示してもいる。

これでようやくめでたしというところなのだが、じつはまだいくつかのエピソードが残されている。それは中納言家三の君・四の君の後日譚である。

ああもう、そういうんじゃないと言っておきながら今日は結局あらすじで終わってしまった。

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