姫君の御文は、心ことにこまかなりし御返なれば、あはれなること多くて、
浦人のしほくむ袖にくらべみよ波路へだつる夜のころもを
(「須磨」新日本古典文学大系『源氏物語(二)』、p. 26)
源氏が須磨に流されて方々に手紙を書く。藤壺や朧月夜たちからも返事が届く。紫上(「姫君」)からも返事が届いて、というところ。脚注を見ると「格別に愛情をこめて書かれていた源氏の手紙への御返事なので」となっている。「心こまか」なのは、文で直後に続いている紫上の「御返」なのではなくて、もとの源氏の手紙なのだ。「心こまかなりし」となっているからそういうことになるのだろうけど。
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