2009年6月8日月曜日

雑纂

『枕草子』中の「……(なる)もの」で始まる章段群は、雑纂的章段と呼ばれている。この形式の原点として唐の李商隠による『雑纂』という本がある。僕はこれを漢文の入門書、『詳解漢文』(昇龍堂出版)から知った (p.435)。

それがどこか読めるところはないかと探してみたら、早大の図書館が「古典籍総合データベース」と称して古典籍の写真を公開していて、そこに江戸末期に出版された『雑纂』があった。やるじゃんワセダ。『雑纂. 上,下』墨江岸田桜(岸田吟香)校訂、文久二 (1862) 年。李商隠のオリジナルは上巻のほうである。あとは後人によるもの。(現在読める出版物で『雑纂』を所収しているものがあったら教えてください。)

さてその内容は、

必不

酔客逃席、客作偸物去 逐王侯家人、把棒呼狗、窮措大喚妓女

また、

殺風景

花間喝道、看花涙下、苔上鋪席、斫却垂柳、云々

この『雑纂』というのは『詳解漢文』によれば、「だいたい酒令(勝負に負けたり、しくじったりした者に酒を飲ませること)のために、問題のうまい答えを書いたものといわれています」とのこと(同頁)。ネタ帳のようなものか。題があって、それにふさわしいものを機知を交えて挙げるという形態は、たしかに枕草子と共通している。

分量は枕草子のそれと比べるとずいぶん少ない。また内容的に共通しているものは見られないようだ(ざっと見た限りでは)。古今の序文に見られるような、漢籍からの直接的な影響の一例としては同列には語れない雰囲気である。清少納言の頭に『雑纂』はあったろうが、内容的にはあくまで自分の思うままに書いたといったところかね。

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